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ISMS・Pマーク・セキュリティ対策評価制度の違い|特徴や選び方を解説

2026.04.21

ISMS・Pマーク・セキュリティ対策評価制度のイメージ画像

近年、企業規模を問わずランサムウェアや情報漏えいの被害が相次いでおり、企業はより高度な情報セキュリティ対策が求められています。特に中小企業においても、取引先や顧客からセキュリティ体制を問われるケースが増えています。
その中で注目されているのが、「ISMS(ISO27001)」「Pマーク(プライバシーマーク)」、そして「セキュリティ対策評価制度」です。ただし、これら3つの制度は目的や対象範囲がそれぞれ異なるため、自社の状況に応じて適切な制度を選ぶことが重要です。

本記事では、ISMS・Pマーク・セキュリティ対策評価制度の違いを整理し、それぞれの特徴や選び方について分かりやすく解説します。

まずは、ISMSとはどのような特徴や目的を持つ制度なのかを解説します。

ISMS(ISO27001)とは、国際規格であるISO/IEC 27001に基づき、企業や組織が情報セキュリティを適切に管理するための仕組み(マネジメントシステム)を構築・運用していることを第三者機関が認証する制度です。
正式には「情報セキュリティマネジメントシステム(Information Security Management System)」と呼ばれます。

ISMSでは、組織の経営活動の一環として、情報資産に対するリスクを洗い出し、自社に必要な管理策を定めたうえで、継続的に改善していくことが求められます。技術情報や顧客データ、社内の機密情報など重要な情報資産を守りながら、取引先や顧客に対して「セキュリティ体制が整っている企業」であることを示すことを目的としています。

また、ISMSは官公庁や大手企業との取引において、入札要件や取引条件として求められるケースが増えています。国際規格(ISO/IEC 27001)に基づく認証制度であるため、海外企業との取引でも信頼性を示しやすい点が特徴です。

次に、Pマークとはどのような特徴や目的を持つ制度なのかを解説します。

Pマーク(プライバシーマーク)とは、日本産業規格であるJIS Q 15001に基づき、企業が個人情報を適切に取り扱うための体制(個人情報保護マネジメントシステム)を構築・運用していることを第三者機関が認証する制度です。

個人情報を適切に取り扱う体制をマークで明確にすることで、取引先や顧客に対して信頼性を示すことを目的としています。Pマークは日本国内で広く認知されている認証制度であり、特にBtoC企業や個人情報を多く取り扱う企業にとって信頼性を示す手段となります。例えば、顧客情報を扱う企業や、個人情報の委託業務を受ける企業では取得が求められるケースもあります。

一方でPマークは国内制度のため、海外取引ではISMSほど一般的な信頼基準とはならない点に注意が必要です。

次に、セキュリティ対策評価制度とはどのような特徴や目的を持つ制度なのかを解説します。

セキュリティ対策評価制度とは、企業が実施している情報セキュリティ対策の状況を一定の基準に基づいて評価し、段階的に可視化する制度です。企業ごとに異なっていたセキュリティ対策の水準を共通の基準で整理することで、サプライチェーン全体のセキュリティ向上を目的としています。
また、企業間取引において双方のセキュリティ対策レベルを把握しやすくなるため、委託先管理や取引条件の一部として活用される可能性もあり、今後注目が高まる制度とされています。

セキュリティ対策評価制度は2026年度内に開始予定で、セキュリティ対策の状況に応じて★3〜5の段階で第三者評価が行われます。なお、★1・★2は既存の「SECURITY ACTION」に準じた自己宣言による区分とされています。

< セキュリティ対策評価制度に関する詳しい記事はこちら >

次に、ISMS・Pマーク・セキュリティ対策評価制度の違いについて一覧で整理します。

それぞれ異なる規格・評価制度ですが、求められるセキュリティ対策には共通する部分もあります。そのため、制度選定を行う前に、違いを理解しておきましょう。

ISMS・Pマーク・セキュリティ対策評価制度の比較表

次に、ISMS・Pマーク・セキュリティ対策評価制度それぞれのメリット・デメリットについて解説します。

ISMSのメリット

①情報セキュリティリスクの軽減
ISMSを導入することで、情報資産全体を対象としたセキュリティ管理体制を構築できます。その結果、サイバー攻撃や不正アクセスによる情報漏えい・窃取などのリスクが低減し、事業継続につなげることが可能です。また、社内ルールや運用体制が整備されることで、社員一人ひとりのセキュリティ意識向上にもつながります。

②第三者認定による信頼性向上
ISMSは第三機関による審査を経て認証される制度です。そのため、取引先や顧客に対してセキュリティ管理水準の高さを客観的に示すことができ、継続的な取引や新たなビジネス機会の取得につながります。

③海外企業との取引にも活用できる
ISMSは国際規格(ISO/IEC 27001)に基づく認証制度であるため、国内だけでなく海外企業との取引においても信頼性を示しやすい点が特徴です。グローバル市場での競争力向上にも期待できます。

ISMSのデメリット

①取得後は定期審査(サーベイランス)が必要
ISMSの認証は3年間有効ですが、その間も毎年サーベイランス審査を受ける必要があります。さらに、3年ごとに更新審査が実施されるため、認証取得後も継続的な対応が求められます。

②運用体制の維持が求められる
ISMSは、認定取得後も定期的な社内ルールの見直しや内部監査の実施、社員への教育・研修などを継続して行う必要があります。PDCAサイクルに基づく継続的な改善が前提の制度であり、認証の取得や維持そのものが目的とならないよう、形骸化を防ぐ運用が重要です。

Pマークのメリット

①取引先や顧客からの信頼向上につながる
情報漏えい事故が後を絶たない中、近年では取引先や顧客から個人情報の取扱い体制について確認を求められるケースが増えています。Pマークを取得していない場合、個人情報の管理状況について詳細なチェックシートの提出を求められることもあります。
第三者認証によりPマークを取得することで、適切に個人情報を取り扱う体制と運用が整っていることを分かりやすく示すことができます。

②個人情報漏えい防止の強化につながる
Pマークを取得する過程で、個人情報の取得・利用・保管・廃棄までの管理ルールを体系的に整備する必要があります。また、認証維持のために毎年内部監査の実施が求められます。定期的に運用状況を確認し、必要に応じてルールを見直すことで、法令遵守の強化だけでなく、個人情報漏えいリスクの低減や社内意識の向上につながります。

Pマークのデメリット

①全社対応が求められる
Pマークは、原則として全社で個人情報を適切に取り扱う体制の整備が前提とした制度です。そのため、部門単位での取得は想定されておらず、全社的な運用体制の構築や社員教育が必要となります。また、既存の社内ルールや文書をそのまま活用できない場合もあり、個人情報保護方針や各種規程などを新たに作成・整備する必要が生じるケースもあります。

②2年ごとに更新審査が必要
Pマークの認証は2年間有効ですが、その間も毎年維持審査を受ける必要があります。さらに2年ごとに更新審査が実施されるため、継続的な内部監査や運用状況の見直しが求められます。

③包括的なセキュリティ対策の証明にはならない
Pマークは個人情報保護に特化した国内制度であり、企業の情報資産全体に対する包括的なセキュリティ管理体制を証明するものではありません。そのため、海外取引や情報セキュリティ全般の管理体制を求められる場面では、ISMSなどの国際規格に基づく認証の取得が必要となる場合があります。

セキュリティ対策評価制度のメリット

①セキュリティ水準を客観的に示せる
2026年度内に開始予定のセキュリティ対策評価制度では、★3以上において第三者評価が行われるため、自社のセキュリティ水準を客観的に示すことが可能です。近年は取引先や顧客から、より高いセキュリティ水準を求められるケースが増えており、今後は一定の評価区分が取引条件として重視される可能性もあります。そのため、評価を受けていることで、継続的な取引における安心材料となる場合があります。

②サプライチェーン全体のリスク低減につながる
本制度は、大企業を攻撃する目的で中小企業を踏み台にする「サプライチェーン攻撃」への対策強化を背景に整備が進められています。今後、セキュリティ水準を共通基準で評価することで、サプライチェーン全体のセキュリティ水準の底上げが期待されます。企業間取引においても取引先のセキュリティ状況を把握しやすくなるため、委託先管理やリスク管理の強化にもつながります。

③自社の対策状況を可視化できる
評価基準に沿って自社のセキュリティ対策を整理することで、これまで曖昧だった対策状況やリスクを客観的に把握できます。現状の強みや課題が明確になるため、段階的な目標設定がしやすく、計画的な改善につなげやすくなります。

セキュリティ対策評価制度のデメリット

①準備計画が立てにくい面がある
セキュリティ対策評価制度は2026年度内に開始予定であり、ISMSやPマークと異なり、現在は構築方針案の段階です。そのため、評価基準や評価範囲、評価方法の詳細がまだ確定していません。要件が最終化されるまでの間に評価基準の追加・変更が行われる可能性もあるため、自社の具体的な対応方針や準備計画を立てにくい面があります。

②運用面の不確実性がある
本制度は新設される評価制度のため、評価機関の体制や評価プロセス、具体的な運用方法がサプライチェーン全体に浸透するまでには一定の時間を要する可能性があります。また、制度開始後に実務運用上の課題が顕在化し、運用ルールや評価方法が見直される可能性も考えられます。制度が安定的に運用されるまでの移行期間においては、不確実性が伴う点に留意する必要があります。

検討しているビジネスマン

最後に、ISMS・Pマーク・セキュリティ対策評価制度の中から、自社に適した制度をどのように選ぶべきかについて解説します。
各制度には取得・維持に一定のコストや運用負担が伴うため、目的や事業環境を踏まえたうえで、自社に最適な制度を選定することが重要です。

取引要件を最優先で確認する

まず確認すべきなのは、取引先から求められている要件です。取引条件や市場環境を踏まえて制度を選定することが重要です。

官公庁や大手企業との取引、入札案件、情報資産全般の管理体制を重視する企業との取引では、ISMS認証の取得が要件となる場合があります。一方、BtoC向けサービスを提供する企業や、個人情報を取り扱う業務を受託している企業では、Pマークの取得が求められるケースもあります。
また、近年は取引先からセキュリティチェックシートの提出を求められるケースが増えています。セキュリティ対策評価制度の開始に伴い、今後は評価区分が取引先選定の参考指標として活用される可能性もあります。

自社が守るべき情報範囲の見極め

各制度は対象とする範囲がそれぞれ異なります。自社のサービス内容や取り扱う情報の種類、リスク構造を踏まえたうえで制度を選ぶことが重要です。情報資産全般を体系的に管理したい場合はISMS認証、個人情報の管理体制を強化したい場合はPマークが適しています。また、取引先に対して自社のセキュリティ水準を分かりやすく示したい場合には、セキュリティ対策評価制度の活用が有効です。

企業の体制やコストとのバランスで選定する

制度選定にあたっては、自社の体制やリソースとのバランスも重要な判断材料となります。全社的な体制構築が可能か、あるいは一部の部署のみでの運用が現実的かによって、適した制度が異なります。
また、継続的な内部監査や改善体制が維持できるか、取得および維持にかかるコストを確保できるかなど、実際に無理なく運用できるかどうかを踏まえて判断することが重要です。

快適に業務を行っているイメージ画像

以上、ISMS・Pマーク・セキュリティ対策評価制度の違いを整理し、それぞれの特徴や選び方について分かりやすく解説しました。

― ISMSとは
-Pマークとは
-セキュリティ対策評価制度とは
-ISMS・Pマーク・セキュリティ対策評価制度の違い
-ISMS・Pマーク・セキュリティ対策評価制度 メリット・デメリット
-取得する制度の選び方・選定ポイント

以上、ISMS・Pマーク・セキュリティ対策評価制度の違いを整理し、それぞれの特徴や選び方について分かりやすく解説しました。
制度を選定するにあたっては、各制度の特徴やメリット・デメリットを理解したうえで、自社の事業環境や取引要件、コストなどを総合的に考慮することが重要です。また、制度は取得することがゴールではなく、取得後に継続的に機能させられるかどうかが重要なポイントとなります。
まずはこの機会に、自社のセキュリティ体制を整理・見直してみてはいかがでしょうか。

ソニックスでは、セキュリティ環境の見直しや制度取得に関するアドバイスなど、セカンドオピニオンサービスも提供しています。制度の導入を検討されている企業様や、自社のセキュリティ体制に不安をお持ちの企業様は、ぜひお気軽にソニックスまでお問い合わせください。


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