LINEグループへ誘導する新たな手口とは?|社長等を装うビジネスメール詐欺に注意 

セキュリティ対策
LINEグループへ誘導する新たな手口とは?|社長等を装うビジネスメール詐欺に注意 

以前より多くの被害が報告されているビジネスメール詐欺は、これまで取引先や経営者などになりすまし、メール上で偽の振込先や偽サイトへ誘導する手口が一般的でした。しかし近年では、社長や役員などを装ったメールを従業員に送り、LINEグループの作成を依頼したうえで、振込や口座情報の送信を指示する新たな手口も確認されています。
このような新たなビジネスメール詐欺が確認されていることを受け、LINEヘルプセンターでも注意喚起が行われています。
参照元:LINEヘルプセンター「社長・役員を装う『LINEグループ作成依頼』メールによる詐欺にご注意ください」

本記事では、ビジネスメール詐欺の新たな手口や特徴、被害を防ぐための対策について分かりやすく解説します。

目次

  1. ビジネスメール詐欺とは?近年の被害状況とは
  2. 新たなビジネスメール詐欺の手口と特徴
  3. メールからLINE等へ誘導する手口の事例
  4. 新たなビジネスメール詐欺への対策
  5. まとめ

ビジネスメール詐欺とは?近年の被害状況とは

まず、近年のビジネスメール詐欺の被害状況について解説します。

ビジネスメール詐欺とは?

ビジネスメール詐欺とは、自社の経営者や従業員、取引先などになりすまして偽メールを送り、指定した口座への振り込みを促し、金銭をだまし取ることを目的としたサイバー攻撃のことです。英語では、BEC(Business Email Compromise)とも呼ばれています。

企業をターゲットにしたビジネスメール詐欺では、事前にメールのやり取りを傍受したり、SNSや企業サイトなどから情報を収集したりして、攻撃に向けた準備が行われるケースも多いです。

近年の被害状況

毎日新聞が2026年1月に掲載した記事によると、2025年12月中旬から2026年1月19日までの間に、東京都内で14社、計6億7,000万円に上る新たなビジネスメール詐欺の被害が確認されています。また、経済産業省所管の独立行政法人であるIPA(独立行政法人情報処理推進機構)の相談窓口には、2025年12月16日から2026年3月10日までの間に、同様の手口に関する相談が106件寄せられています。IPAによると、実在する社長名や会社名などをかたる詐欺メールに関する相談は、2025年12月中旬より急増しているとされています。

このように、2025年12月以降、社長等を装ってLINEグループへ誘導する新たなビジネスメール詐欺の手口による被害や相談が増加しており、企業側での注意が必要です。

参照元:毎日新聞「突然届く「社長」のメール 新手の詐欺増加 1カ月で6億円超被害」
参照元:参照元:IPA「社長等をかたる詐欺メールに注意!」

新たなビジネスメール詐欺の手口と特徴

次に、2025年12月頃から急増している、LINEグループへ誘導する新たなビジネスメール詐欺の手口と特徴について解説します。

メールからLINE等に誘導する手口

これまでのビジネスメール詐欺は、取引先を装って偽の請求書を送付したり、自社の社長や従業員になりすまして偽の口座への振り込みを指示したりするなど、メールでのやり取りの中で完結する手口が主流でした。しかし近年では、偽メールからLINEやチャットツールなどへ誘導し、複数の連絡手段を組み合わせて相手をだます手口が増加しています。

新たなビジネスメール詐欺の特徴

この新たな手口の特徴は、メールでのやり取りを最小限に抑えたうえで、普段利用しているLINE等のチャットツールへ誘導する点です。メール上では詳しいやり取りを行わずにLINE等に移行することで、メールセキュリティの監視を回避しやすくしたり、相手の警戒心を下げたりする狙いがあると考えられます。 

メール内容の特徴としては、主に以下のような点が挙げられます。

① 差出人の表示名が、自社や取引先の「社長名」や「社員名」になっているケースがあります。
② 宛先が、自社のメーリングリストのアドレスになっているケースがあります。
③ 件名に、自社の会社名が使われているケースが多いです。
④ 本文では業務上の指示を装い、LINEグループの作成やQRコードの返信を促すほか、「グループには他の人は入れないように」といった指示が書かれているケースがあります。
⑤ 数は多くありませんが、マルウェア感染を目的とした添付ファイルが付いているケースもあります。

参照元:IPA「社長等をかたる詐欺メールに注意!」

メールからLINE等へ誘導する手口の事例

弊社でも、2025年12月中旬から2026年6月までの間に、社長を装ってLINEグループの作成やQRコードの返信を促すメールが15件ほど届いています。また、ユーザー様より同様の迷惑メールについてご相談をいただくケースもあり、新たな手口によるビジネスメール詐欺が身近な脅威になっていることを実感しています。

次に、弊社に届いたビジネスメール詐欺の内容をもとに、どのようにLINE等へ誘導しているのか、具体的な事例をご紹介します。

ケース①

<件名>社内連絡
<差出人>社長名
<差出人アドレス>過去に不審なメールの発信元として報告例があるドメインのメールアドレス
<本文>今後、(ソニックス株式会社)での業務連絡の効率化を図るため、本メールを受信後、ご自身の個人LINEのQRコードを本メールアドレス宛にご返信いただきますようお願いいたします。ご送付いただきましたら、私からLINEにて追加させていただき、今後の業務連絡はLINEを通じて実施いたします。

【解説】

差出人名には、弊社社長のフルネームが使用されていました。社長名は公式HPなどから確認できる情報のため、攻撃者が事前に情報収集したうえでメールを送信している可能性があります。また、差出人アドレスのドメインを確認したところ、過去に不審なメールの発信元として報告例があるドメインが使用されていました。

本文では、業務連絡の効率化を理由に、個人LINEのQRコードを返信するよう促しています。さらに、「今後の業務連絡はLINEを通じて実施する」という文言を使用することで、通常の業務連絡に見せかけ、受信者に「対応しなければならない」と思わせるような文面になっています。

ケース②

<件名>企業名
<差出人>社長名
<差出人アドレス>フリーアドレスのドメインを使用したメールアドレス
<本文>プロジェクト連絡のため、新しいLINEグループを作成してください。グループ名は本社名を使用してください。LINE WORKSではなく通常のLINEでお願いします。
作成時は私は追加しなくて大丈夫です。財務部より1名、先に追加してください。私が参加後、他メンバーの追加はこちらで手配します。よろしくお願いいたします。

【解説】

差出人名には、弊社社長のフルネームが使用されていました。社長名は公式HPなどから確認できる情報のため、攻撃者が事前に情報収集したうえでメールを送信している可能性があります。また、差出人アドレスのドメインを確認したところ、フリーメールアドレスのドメインが使用されていました。一般利用者のメールアドレスが悪用されている、もしくはサイバー攻撃用に作成されたアドレスが使用されている可能性があります。

本文では、「プロジェクト連絡のため」という理由で、新しいLINEグループの作成を促しています。さらに、「LINE WORKSではなく通常のLINEでお願いします」「作成時は私は追加しなくて大丈夫です」といった文言により、社内で管理されている業務用ツールではなく、個人利用のLINEへ誘導しようとしている点が特徴です。

ケース③

<件名>社長名
<差出人>通知する
<差出人メールアドレス>某サービスの正規ドメインのメールアドレス
<本文>今後の業務プロジェクトを円滑に進めるため、以下の通り対応をお願いします。LINEワークグループの新規作成 グループ作成後、私が参加した上で他のメンバーを追加してください。
QRコードの生成と送付、グループ作成完了後、参加用QRコードを生成し、本メールに返信してください。上記の手順に従い、速やかに対応をお願いします。業務調整の開始は、私がグループに参加した後に行います。
お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

【解説】

このメールでは、件名に社長名が使用されている一方で、差出人名には、「通知する」という不自然な文言が使用されています。また、差出人アドレスのドメインを確認したところ、某サービスの正規ドメインのメールアドレスが使用されていました。正規のドメインであっても、契約者のアカウントが乗っ取られ、悪用されている可能性があります。

本文では、「業務プロジェクトを円滑に進めるために」という理由で、新しいLINEグループの作成を促しています。さらに、「速やかに対応をお願いします」といった文言を使用することで、受信者に「急いで対応しなければならない」と思わせるような文面になっています。

新たなビジネスメール詐欺への対策

最後に、メールからLINE等へ誘導する新たなビジネスメール詐欺の手口に騙されないための対策について解説します。

不審なメールを受信した際の対処法

<安易に信用しない>

差出人名や差出人アドレスが自社の社長や従業員、取引先のものであっても、メールからLINEやチャットツール等へ誘導された場合は、安易に信用せず慎重に対応することが重要です。

<本人へ直接確認する>

不審なメールを受信した際は、絶対に返信せず、本文内のURLや添付ファイルも開かないよう徹底しましょう。たとえ業務上必要な連絡に見える内容であっても、メール以外の方法で本人に直接確認することが大切です。
確認の際は、メール本文に記載された連絡先ではなく、普段から使用している電話番号や社内チャットなど、信頼できる連絡手段を利用してください。

不審なメールであると判断した場合は、所属部署の上長や情報システム担当者へ報告し、必要に応じて社内に注意喚起を行うなど、自社のルールに従って対応しましょう。

社内ルールが整備されていない場合

社内で迷惑メールやビジネスメール詐欺への対応ルールが整備されていない場合は、以下のような対策から始めることが大切です。

1.ビジネスメール詐欺などの迷惑メールを受信した際の対応ルールを定め、社内で周知や実施を徹底する。
2.振込や支払いを行う際は、二重チェックや承認フローを設ける。
3.実際に確認されたサイバー攻撃の事例を社内で共有し、定期的にセキュリティ教育を実施する。

なお、不審なメールを受信した場合、受信したPCがマルウェアに感染している、またはメールアカウントが乗っ取られている可能性も考えられます。念のため、受信したPCをアンチウイルスソフトでスキャンする、メールアカウントのパスワードを変更する、多要素認証を導入するなど、必要に応じた対処しましょう。

まとめ

以上、ビジネスメール詐欺の新たな手口や特徴、被害を防ぐための対策について分かりやすく解説しました。

― ビジネスメール詐欺とは?近年の被害状況とは
― 新たなビジネスメール詐欺の手口と特徴
― メールからLINE等へ誘導する手口の事例
― 新たなビジネスメール詐欺への対策

LINE等を使った新たなビジネスメール詐欺の手口について事前に把握しておくことで、不審なメールだと判断しやすくなります。しかし、社内全体で認識されていない場合は、「業務上必要だから」「社長からの指示だから」と考え、要求に応じてしまう可能性があります。

同じようなメールを受信した場合でも、受け取り方は人それぞれです。「あり得ないシチュエーションだ」と感じる従業員もいれば、「社長に言われたら対応するしかない」と感じてしまう従業員もいるかもしれません。実際に前述の毎日新聞の記事でも、ビジネスメール詐欺により1億以上の被害にあった企業の事例が紹介されていました。
そのため、まずは最新のサイバー攻撃の手口を「知る」こと、そして社内のセキュリティ対策や確認体制をアップデートしていくことが重要です。

ソニックスでは、こうした最新のサイバー攻撃に対するセキュリティリテラシー研修や、迷惑メール対策をはじめとした各種セキュリティサービスを取り扱っています。
自社のセキュリティ対策を見直したいとお考えの企業様は、まずはお気軽にソニックスへご相談ください。

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