従来のバックアップは定期的に複製したデータを社内にあるデータサーバやPCの外付けハードディスクなどに保管する方法が主流でした。しかし、バックアップに長時間かかる・ネットワーク転送量が多く発生する・保存ストレージ容量を多く消費するなど、さまざまな懸念点がありました。
そこで、近年多くの企業に利用されているのがクラウドバックアップと呼ばれるバックアップ方法です。クラウドバックアップは、クラウド上のストレージやサーバーに複製したデータを保管するため、災害やサイバー攻撃などの被害に遭った場合であっても簡単に元の状態に復元することができます。しかし、中には『 外付けのハードディスクで十分ではないか』『 導入するのにコストや手間が掛かりそう 』といったさまざまな疑問をお持ちの企業様は多くいらっしゃいます。
今回は、クラウドバックアップの特徴やバックアップの種類、クラウドバックアップをおすすめする理由やクラウドサービスを選定する際のポイントについて徹底解説します。
まず、クラウドバックアップの特徴をご紹介します。
クラウドバックアップの重要性をしっかり理解することで、クラウドバックアップを適切に活用して安全にデータ管理することができます。
バックアップとは、データを複製して同じデータを2つ以上の場所に保管することを指し、従来はPCの外付けハードディスクやUSBメモリなどに複製したデータを保管する、オンプレミスのバックアップ方法が用いられていました。
しかし、従来のバックアップ方法は物理的なものにデータを保管していたため、老朽化等による故障のリスクやバックアップに長時間かかる・保存ストレージ容量を多く消費することなど、懸念点やデメリットがありました。また、近年ではさまざまな業務がシステム化され、大量の情報がデジタルデータとして保管されるようになりました。
そこで、近年多くの企業が利用しているのがクラウドバックアップです。
クラウドバックアップはデジタルデータの保管方法の一種で、社内にある大量のデジタルデータを仮想サーバーに自動的に保管することができるため、手間がかからない・時間や場所を問わずアクセスが可能です。
つまり、クラウドバックアップはデータの消失・突然の災害・サイバーウィルスの被害など、万が一に備えて重要なデータを社外の安全な場所に保管することのできるバックアップサービスです。
次に、2種類のクラウドバックアップ手法についてご紹介します。
それぞれメリット・デメリットがあるため、要件に応じて使い分けることで効果的にバックアップを利用することができます。
イメージバックアップは、システムの保護に重点を置いたバックアップ手法です。ファイル・アプリケーション・OS・設定など、データを含むシステム全体を丸ごとバックアップします。
バックアップはボリューム/ディスク単位で行うため、バックアップに時間がかかるものの、復元の工数が少なく短い時間で完了できる・復旧に必要なコストが安いなどのメリットがあります。
一方で、万が一バックアップファイルが破損した場合、すべてのデータが失われてしまう・基本的に復元をする際はバックアップしていた機器と同等のスペックの機器が必要になるなどのデメリットがあります。
ファイルバックアップは、特定のファイルやデータをファイル単位でバックアップする手法です。
バックアップはフォルダ/ファイル単位で行うため、バックアップにかかる時間は短く、容量を節約できるなどのメリットがあります。
一方で、OSやアプリケーションはバックアップ・復元ができないため、再度インストールしなければならない・環境設定のやり直しを含め復元に時間がかかる・復旧に必要なコストが高いなどのデメリットがあります。
次に、クラウドバックアップを利用しないことにより、高まるセキュリティリスクについて解説します。
自社にサーバーを設置するオンプレミスバックアップの場合、万が一、災害・サイバー攻撃・人為的ミスによりデータが消失してしまうとデータを復旧させる手段がありません。
一方、クラウドバックアップの場合、自然災害の被害を受けにくい土地にセンターを所有している・複数のバックアップ拠点センターを所有しているなど、さまざまなデータ消失への対策が施されています。
オンプレミスバックアップの場合、万が一、社内のパソコンがウイルス感染すると同じネットワーク内にある全ての端末へ感染拡大するリスクがあるだけでなく、同じネットワーク上に保存しているデータまで感染する危険性があります。
一方、クラウドバックアップの場合、社外の安全なクラウド上にデータを保管しているため、データまで感染するリスクが低いです。
オンプレミスバックアップの場合、セキュリティ対策の自由度が高いため強固なセキュリティ対策を講じることが可能ですが、セキュリティ担当者の知識が乏しいとサイバー攻撃に遭い、情報漏えいする危険性が高まります。そのため、オンプレミスバックアップを利用する場合は、セキュリティ担当者のスキルや知識が求められます。
一方、クラウドバックアップの場合、不正アクセス・情報漏えいが発生する原因としてファイルの共有設定ミスが挙げられるため、ユーザー毎に適切なアクセス権限の設定を行う・多要素認証を採用することで組織内部や第三者からの不正アクセスや情報漏えいが発生するリスクを低くすることができます。
オンプレミスバックアップであってもクラウドバックアップであっても少なからずセキュリティリスクは伴いますが、『データを社外・複数のバックアップ拠点センターに保管する』ことで被害を最小限に抑えることができるため、クラウドバックアップは利用すべきサービスと言えます。
次に、クラウドバックアップの必要性・おすすめする理由についてご紹介します。
オンプレミスサーバーにバックアップを取る場合、IT担当者はバックアップ中のアクシデントに備えて作業中はその場を離れることができないなど、付きっきりで対応するケースがあります。
一方、クラウドバックアップは、バックアップする日時や範囲を事前に指定しておくなど、簡単な操作で自動的にバックアップを取ることができます。また、途中でアクシデントが発生した場合はアラートで通知が来るので安心です。
オンプレミスサーバーで運用する場合、導入時にネットワーク機器・ソフトウェア・ライセンスの購入など、初期費用に多くのコストが発生します。また、導入後は運用を継続するにあたり運用者の人件費や保守メンテナンス費といった運用コスト、データ容量を拡張する場合は更に時間やコストが発生します。
一方、クラウドバックアップは、インターネット上に仮想サーバーを設置して保守管理するため、オンプレミスサーバーと異なり、機器等の購入やシステム構築するための人件費といった導入費が抑えられます。また、サービス提供事業者が一括で管理しているため自社で運用する必要がなく人件費がかからない・料金プランによってデータストレージの容量を選択できるため、必要な容量だけ契約できるなど、オンプレミスサーバーと比べて運用コストを削減することができます。
BCP(事業継続計画)とは、災害や事故などの緊急事態が発生した際に被害を最小限にとどめ、事業を継続・早期復旧できるように組織が計画を策定する災害対策のことです。
クラウドサービスの運営会社は災害の被害を受けにくい国内外の遠隔にセンターを所有していることがほとんどです。そのため、万が一、自社のシステムが地震や水害などの自然災害や感染症の流行・事故などに巻き込まれた場合にもデータを守ることができるため、早期に事業を復活させることができます。
多くのクラウドバックアップサービスでは、ソフトをインストール後にバックアップする範囲(日時・どこまでの範囲をバックアップするか)を設定することで自動的にバックアップすることができます。また、バックアップの進捗は管理画面で確認ができる・トラブル発生時はアラートで通知がくるため、作業中にずっと張り付いて対応する必要がなく手間がかからない、効率的なバックアップが可能です。
ランサムウェアは、マルウェア(悪意のあるソフトウェア)の一種で、ランサムウェアに感染するとシステムの画面をロックしたりファイルを暗号化したりした後、その攻撃の解除と引き換えに身代金を要求する手口を用いる不正プログラムです。
ランサムウェアに感染したデバイスと同一のネットワーク上にあるデバイスや物理的に接続しているデバイスのデータすべてに感染が拡大します。そのため、NAS・外付けHDD・NASなどの物理的なデバイスでのバックアップはランサムウェア対策になりません。
一方、共有機能を持たないバックアップ専用のクラウドであれば、ユーザー側にクラウド上のファイルを書き込みする権限がないためバックアップを守り抜くことが可能です。
また、クラウドサービスの運営会社では高いセキュリティ品質が保たれているため、ランサムウェア以外のさまざまなサイバー攻撃からのセキュリティ対策としても効果的です。
最後に、クラウドバックアップサービスを選定する際に注目すべきポイントについて解説します。
マルチクラウドとは、複数のクラウドサービスを組み合わせて活用する運用形態のことです。残念ながら高度なセキュリティ機能が備わっている信頼度の高いクラウドサービスであっても障害やサイバー攻撃の被害に遭う可能性はあります。クラウドサービスを一つに絞ってしまうと、もし被害に遭った場合、復旧されるまでの間は業務が停止してしまうだけでなく、最悪の場合データが消失する危険性もあります。マルチクラウドを利用することで不測の事態が発生しても障害発生時の影響範囲を最小限に抑えてリスクを回避することができます。
また、クラウドベンダーによってサービスの特性や得意分野が異なります。目的に応じて複数のクラウドサービスを利用することで、それぞれの長所を組み合わせて効率的な運用が可能になります。
クラウドベンダーによってサービスの長所だけでなくセキュリティ対策レベルやBCP対策レベルも異なるため、クラウドサービスを選定する上で事前に確認しておきましょう。
インターネットを経由して利用するクラウドサーバーは、常にサイバー攻撃に遭う危険性があるためネットワークやサーバーのセキュリティ対策が非常に重要です。
また、BCP対策として自社から離れており、災害の被害を受けにくい国内外の遠隔に複数のバックアップ拠点センターを所有しているか・障害のない良好な状態で長く稼働し続けている可用性の高いシステムであるかを確認しておきましょう。
データの上書きや削除、マルウェア感染など、いつのタイミングでトラブルが発生するかは分かりません。そのため、復元範囲は広いほど利便性がありますが、クラウドバックアップサービスによって復元できる範囲が異なります。
復元範囲が広いバックアップ方法として、最新のバックアップ時点だけでなく任意の過去の時点から復元できる『世代管理』がおすすめです。仮に1日1回バックアップをとる5世代保存に設定した場合、直近の過去5日間のデータが保存されるため、5日前までのデータを復元することが可能です。
また、世代管理には「フルバックアップ・差分バックアップ・増分バックアップ」の3種類あり、それぞれメリットデメリットが異なるため、目的と状況によって使い分けましょう。
< ソニックスのクラウドバックアップサービスはこちら >
以上、クラウドバックアップの特徴やバックアップの種類、クラウドバックアップをおすすめする理由やクラウドサービスを選定する際のポイントについて徹底解説しました。
ー クラウドバックアップとは
ー クラウドバックアップの種類
― クラウドバックアップを利用しないことによるリスク
― クラウドバックアップの必要性・おすすめする理由
― クラウドバックアップサービスの選び方・ポイント
クラウドバックアップサービスは、自社のオンプレミスサーバーでバックアップをとる運用方法よりも初期費用や運用費用といったコストを削減でき、災害や事故などの緊急事態に備えたBCP対策に効果的です。また、大規模な環境を構築したり既存環境はほとんど変わらないため、スムーズに移行することが可能です。
一方、クラウドベンダーによってサービスの特性や得意分野が異なるため自社のニーズに合ったサービスの選定や、不測の事態へのリスクヘッジのためにマルチクラウドの採用が求められます。また、クラウドバックアップサービスだけでなく導入後もサポート体制が整っている業者選びも重要です。
ソニックスでは、クラウドバックアップサービスの提案から導入後のアフターサービスまで一貫して対応しております。
クラウドバックアップについてお悩み事や導入を検討されている企業様は、まずはお気軽にソニックスにお問い合わせください。