【IPv6とは?】IPv4との違いやメリット・デメリットについて徹底解説

2024.08.09

ネットワーク回線のイメージ画像

法人向けのインターネット回線を契約する際や通信速度が遅い原因を調べる際などに「IPv4」や「IPv6」という言葉を目にする機会が多々あります。しかし、IPv4とIPv6とは一体どのようなものなのか・それぞれの特徴や違いについてはあまり理解できていないという方も多いのではないでしょうか。

今回はIPv6とIPv4のそれぞれの特徴や違い、メリット・デメリット、IPv6の利用方法について徹底解説します。

インターネットを利用する上でコンピューターが正しくデータを送受信するために必要なのが、IPとIPアドレスです。
まず、IPとIPアドレスの特徴について解説します。

IPとは

IPとはInternet Protocol(インターネットプロトコル)の頭文字を取った言葉で、インターネットを利用してコンピューターがデータを送受信する際に正しい宛先に届くよう、【データが通るルート】や【コンピューターを特定するための住所】を指定するといったデータ通信の方法を定めた通信プロトコル(ルール)のことです。

IPアドレスとは

IPアドレスとはInternet Protocol Address(インターネットプロトコルアドレス)を省略した言葉で、インターネットに接続するPC・スマホ・プリンタなどの通信機器を個々で識別するために割り振られた識別番号のことです。インターネット上の住所のような役割を担っており、Webサイトの閲覧やメールの送受信時に送信元と送信先を識別するために必要です。

IPアドレスには「グローバルIPアドレス」と「プライベートIPアドレス」の2種類があり、用途によって分類されています。グローバルIPアドレスは外部とデータを送受信する際に使われており、世界的ではICANN、日本ではJPNICという機関がIPアドレスを管理しています。プライベートIPアドレスは社内LANや自宅LANなど、社内や家庭内など特定の限られたネットワーク内でデータを送受信する際に使われています。

IPの仕組み

次に、IPv4とIPv6の特徴についてそれぞれ解説します。
IPv4とIPv6は「Internet Protocol version 4」と「Internet Protocol version 6」の略で、上記で解説したIPの一種です。

IPv4とIPv6の特徴

IPv4は1980年代初頭に開発されたIPの第4版のことで、1990年代後半からインターネットと共に普及しました。IPv4は約43億個のIPアドレスが発行可能ですが、スマホの普及やIoTの浸透などの影響によりインターネットに接続する端末が急増したことで10年以上前からIPv4だけではIPアドレスが枯渇することが懸念されていました。
そこで、IPv4に代わるものとしてIPの第6版となるIPv6が誕生しました。IPv6は約340澗個というほぼ無限に近い数のIPアドレスが発行可能なため、近年ではIPv6への移行・普及が進んでいます。

IPv4とIPv6の違い

【 IPアドレスの長さ・個数の違い 】
・IPv4アドレス=*アドレス長は32bit(ビット)/ 発行可能なIPアドレスの個数は約43億個
・IPv6アドレス=*アドレス長は128bit / 発行可能な個数は約340澗(1澗菅=1兆×1兆×1兆)

【ネットワーク終端装置・対応機種の違い】

・IPv4=ネットワーク終端装置が必要 / IPv4対応のルーター
・IPv6=ネットワーク終端装置は不要 / IPv6対応のルーター

【接続方式の違い】
インターネットの通信は送信データの形式やパケット構成などさまざまな取り決めがあり、機器間で通信を行うためには送信元と送信先双方で同じプロトコル(ルール)を使う必要があります。
IPv4では「PPPoE」と呼ばれる接続方式のみに対応していますが、IPv6では「PPPoE」「IPoE」「IPv4 over IPv6」の3種類の接続方式に対応しています。

インターネットを利用する際、はじめにインターネットサービスプロバイダーに接続する必要がありますが、インターネットサービスプロバイダーへの接続方式は3種類あります。
次に、それぞれの接続方式の特徴について解説します。

PPPoE接続方式(トンネル接続方式)

『PPPoE』は、ネットワーク終端装置(NTE)を通過して電話回線網とインターネットサービスプロバイダーが接続しているため、接続用のユーザー名(ID)とパスワードが必要です。また、IPv4・IPv6両方に対応しているものの、アクセスが集中するとネットワーク終端装置の処理能力を超えてしまい、通信速度が遅くなりやすい特徴があります。

なお、PPPoEの接続方式では、ルーターやアダプターなどの通信機器を用意・設置する必要があります。

IPoE接続方式(ネイティブ接続方式)

『IPoE』は、ネットワーク終端装置を通過せずにインターネットサービスプロバイダーを介して直接インターネットに接続することができます。そのため、通信速度が速い・ユーザー名やパスワードによる認証が不要・設定が簡単にできるという特徴があります。しかし、IPoEはIPv6のみに対応している方式のため、IPv4に対応しているWebサイトやサービスの利用ができないといったデメリットがあります。

なお、IPoEの接続方式では、ルーターやアダプターなどの通信機器を用意する必要がありません。

IPv4 over IPv6

『IPv4 over IPv6』は、従来型のIPv4と次世代型のIPv6の両方に対応できる新たな接続方式です。従来型のIPv4は、IPv4・IPv6両方に対応しているもののアクセスが集中することにより通信遅延が発生しやすいという問題点がありました。一方、次世代型のIPv6は、通信速度は安定しているもののIPv4に対応したWebサイトやサービスが利用できないという問題点がありました。そこで、それぞれの問題点を解決するために開発されたのが『IPv4 over IPv6』です。

『IPv4 over IPv6』には、さまざまな接続方式があります。その中の一つである「MAP-E」では、IPv4パケットの技術である【カプセル化】が採用されているため、IPoE方式でIPv4とIPv6どちらのWebサイトやサービスも利用することができます。
また、IPv6環境で通信することでアクセスの混雑が起こりにくくなり、通信速度が安定します。

PPPoE方式とIPoE方式の画像

次に、次世代型のIPv6のメリット・デメリットについて解説します。

IPv6のメリット

【通信速度の速さ】
①IPv6自体は通信規格のため、通信速度はIPv4と比べてもそれほどの違いはありません。しかし、上記に記載したようにネットワーク終端装置を通過せず直接インターネットに接続する新たな通信方式を利用しているため、通信速度が遅くなりません。(=速い )

②IPv4ではIPアドレスの数が限られていたためインターネットに接続する際にサーバーやルータを経由してグローバルIPアドレスを使用する必要がありました。しかし、IPv6ではIPアドレス数が多くなり、全ての機器にIPアドレスが割り振られるようになったことで機器がインターネットに直接接続できるようになり、通信速度が速くなりました。

【強固なセキュリティ対策】
IPv6では、通信を安全に接続するための「IPsec(Security Architecture for Internet Protocol)」と呼ばれる技術が標準機能として組み込まれています。IPsecはデータの暗号化と認証の強化により、通信経路上での第三者からの情報の窃取やデータの改ざんといったサイバー被害に遭うリスクを軽減することができるため、利用を推奨されています。

【IPアドレスの自動振り分け】
IPv6では、機器をインターネットに接続する際に自動的にIPアドレスが割り振られるため、インターネットに接続する端末ごとへのIPアドレスの設定が不要になりました。

仕事をしているイメージ画像

IPv6のデメリット

【IPv6に対応していないWebサイトが多い】
近年ではIPv6が普及してきている一方で、IPv4のみにしか対応していないWebサイトに接続することができません。ただし、「IPv4 over IPv6」の変換技術を使用することでIPv4・IPv6両方に対応できるようになるため、IPv6でIPv4対応のWebサイトやサービスを利用することができます。

【IPv4とIPv6の互換性が少ない】
IPv4とIPv6は異なる通信規格のためIPv4で使用していたIPアドレスのままIPv6の通信を利用することができないなど、IPv4とIPv6の互換性が少ないです。ただし、「IPv4 over IPv6」の変換技術を使用することでIPv4・IPv6両方に対応できるようになるため、互換性に関するデメリットは解消されます。

【IPoEを利用しないと通信速度が遅い】
上記に記載したようにIPv6はPPPoEとIPoEの通信方式を利用することができます。しかし、設定を変更せずPPPoE方式のままIPv6を利用した場合、通信速度の遅延の原因となるネットワーク終端装置を通過することになるため、通信速度は改善されません。

【IPv6対応のルーター・回線が必要】
IPv6未対応のルーターや回線ではIPv6の通信を利用することができないため、IPv6に対応しているルーターと回線を準備・契約する必要があります。

考え込んでいるイメージ画像

次に、IPv6の通信規格を利用する方法について解説します。

IPv6の接続状況を確認

IPv6は、IPv4から自動的にIPv6に切り替わる性質のものではありません。そのため、利用するにあたり申し込みが必要ですが、手続きをする前に現在使用している端末でIPv6の接続状況を確認しましょう。確認方法は検索エンジンに「IPv6 接続確認 サイト」などのキーワードを入力して検索するとIPv6の接続状況を確認できるWebサイトが表示されます。

プロバイダーもしくはオプションサービスへの申し込み

IPv6を利用するには、「IPv6対応のプロバイダーに申し込む」もしくは「利用中のプロバイダーでIPv6オプションサービスを申し込む」必要があります。

【IPv6未対応のプロバイダーを契約している場合】
現在IPv6が未対応のプロバイダーで契約している場合、新規でIPv6対応のプロバイダーに申し込む必要があります。IPv6対応のプロバイダーの専用ページより申し込み手続きを行ってください。
なお、契約している回線によって開通工事を行うケース・行わないケースがあるので、詳細は契約中の回線会社に確認しましょう。

【IPv6対応のプロバイダーを契約している場合】
現在IPv6に対応しているプロバイダーで契約している場合、契約中のプロバイダーに追加オプションサービスを申し込む必要があります。契約中のプロバイダーの会員ページよりIPv6のサービスの申し込み手続きを行ってください。

なお、【新規でIPv6対応のプロバイダーに申し込む】場合も【契約中のプロバイダーに追加オプションサービスを申し込む】場合も、IPv6対応のルーターを用意するかホームゲートウェイのレンタルを申し込む必要があります。
ただし、既に光電話に加入しているうえでフレッツ光や光コラボでIPv6を利用する場合は、ホームゲートウェイが提供されるため別途ルーターを用意する必要はありません。また、提供されるホームゲートウェイを利用する場合は特に初期設定をする必要はありません。

最後に、IPv6を利用する際の注意点について解説します。

対応している接続方式を確認する

IPv4 over IPv6方式を使用するにはプロバイダーとルーター双方がIPv4 over IPv6に対応している必要があります。また、回線の中にはIPv4 over IPv6に対応していない回線もあるため、契約や購入する前にIPv4 over IPv6に対応しているプロバイダー・ルーター・回線かどうかを確認しましょう。

初期設定が必要なケースがある

IPv6を申し込んだ後にルーターや端末側の設定が必要なケースがあります。ルーターの種類や端末によって設定方法が異なるため、各メーカーの設定手順に従って初期設定を行いましょう。
ただし、スマホは既にIPv6設定が行われていることが多いため、初期設定は不要です。

以上、IPv6とIPv4のそれぞれの特徴や違い、メリット・デメリット、IPv6の利用方法について徹底解説しました。

ー  IPとIPアドレス
ー IPv4とIPv6の特徴と違い
ー インターネットの接続方式
ー IPv6のメリット・デメリット
ー IPv6を利用する方法
― IPv6を利用する際の注意点

最新型の通信規格IPv6を利用することにより、「通信速度が改善され通信が高速化・安定化する」「セキュリティが強化される」などのメリットがあります。またIPv4のIPアドレス枯渇問題もあるため、今後はさらにIPv6が普及します。とはいえ、まだまだIPv4のみに対応しているWebサイト・サービスが多く、移行する際にはIPv6に対応するサービスや機器を用意する必要があります。
また、IPv6に移行したものの通信速度が遅い・繋がりにくいなど様々な理由で不具合が発生するケースもあります。

ソニックスでは回線・ルーターなどの見直し・提案や機器の設定など、社内のインターネット回線を安定化させるためのさまざまなサービスを提供しています。また、セカンドオピニオンとして無料の現地調査も行っておりますので、ご不安なことやお困りごとなどございましたらお気軽にソニックスにお問い合わせ下さい。

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